三匹の死んだ猫
長田弘
ペットロスに陥っている方におくります・・・
三匹の猫が死んだ
一年に一匹ずつ、順に死んだ。
二十年、三匹の猫と、ともに暮らした。
最初の猫は、黙って死んだ。
車に轢かれて、突然死んだ。
二匹目の猫は、毅然として死んだ。
最後まで四本の脚で立ち上がろうとし、できなくなって、はじめて、
崩れおちるようにして、死んでいった。
三匹目の猫は、静かに死んだ。
耳は聴こえなかった。歯は噛めなかった。
それでも、いつもチャーミングだった。
自分で横になって、目を瞑って死んだ。
この世に生まれたものは、死ななければならない。
生けるものは、いつか、それぞれの
小さな死を死んでゆかなくてはならない。
二十年かかって、三匹の猫は、
九つのいのちを十分に使い果たして、死んだ。
生けるものがこの世に遺せる
最後のものは、いまわの際まで生き切るという
そのプライドなのではないか。
雨を聴きながら、夜、この詩を認めて
今日、ひとが、プライドを失わずに、
死んでゆくことの難しさについて考えている。
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私にはこの詩が衝撃的です。元気なとき、もちろん猫はかわいい。
でも、病気になって、糞尿にまみれて臭く、どんなに苦しんでいる猫でも、
愛しい猫は、本当にチャーミングです。
私は愛しい猫の冷たくなった身体も、できることなら、このままずっと、
抱きしめていてあげていたいと思います。
もし、あなたがかわいがっていた愛猫に後悔の念を抱いているとしたら・・・
ほとんどの動物は、飼い主に感謝して旅立って逝きます。
たとえ、やむをえず命を絶たなければならない事があったとしてもです。
もし、あなたの愛猫が苦しんで逝ったとしたら・・・
あなたの愛猫は、きっと、いまわの際の最後まで、生きることへのプライドを持ち、
それをあなたに見せ、命を使い切って亡くなったのです。
どちらも同じように誉め、安らかに旅立てるように心で祈ってあげて下さい。
そして、半分に折った線香と好物をあげて下さい。
そして、時々話しかけてあげて下さい。
その子は、いつもあなたの側で優しく見守り、
生前と同じようにあなたを慰めています。
西洋でも猫は九つの命を持つと言われます。
これは、猫がすばしっこくて丈夫で、
なかなか死なない命を持っていることからNine livesと表現されますが、
私も、いつか九つの命を使い切ってみたいと思います。
もし、人生の終わりに、自分が何ももっていなかったとしても、どのような形でも、
それが、後の人達の誰かの記憶に残るような終わり方であれば、
長生きする人生も悪くないかもね?!。

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