まだ一人前になっていない子猫がわが家に来ました。

 

わが家から遠く離れた仕事現場のお昼休みに出会った子猫が、
毎日同じ時間に遊びに来るので、ついつい餌づけしてしまい、
あまりにも可愛くてしょうがないので、その現場の仕事おさめの日に、
バッグに詰めて持って帰って来てしまったのです。

 

帰りの電車の中で、バッグの中でミャーミャー鳴いていましたが、
乗客さん達は皆、見て見ぬフリをしてくれました。

 

私はもう連れ帰る事しか頭にないので、

もう少しだから、もう少し我慢したら美味しい御飯が食べられる所に行けるから…

と、黙ってテレパシーを送りながら言い聞かせ、どうにかこうにかわが家に到着しました。

 

家に着いてバックから出したら、とにかく抱っこして撫でまわしてやりました。

かわいい、かわいい、いいこ、いいこの連発です。

 

そして抱っこしながら小皿にミルクを入れて、
鼻先を近づけて臭いをかがせてから畳に置いてやったら、
おとなしくミルクを飲みつくしました。

 

段々、慣れて来ると部屋中をかけまわり、飛びまわりしてましたが、
ちょっと目を離しているうちにステレオのスピーカー台の隙間から中に入って、
妙にスッキリした顔で出て来ました。

 

しまった~、やられた~。

私はすぐに気がつきました。

 

どんなに可愛い猫ちゃんでも、入れたら出したくなるのは人間と同じ。

一応、猫ちゃんは猫ちゃんで、
人間に見られない所で用をたしたいだけなんです。

 

…ですが、そんな狭くて暗い所でして来られちゃ、
あとで掃除をするこっちがたいへんですよね。

 

それでトイレをどうするか考えたんです。

 

猫ちゃんもちゃんと躾ければ人間用のトイレを使う事を知らなかったので、
箱を見つけてそれを猫ちゃんトイレにすることにしました。

 

ノートパソコン程度の広さで、高さが五センチほどのプラスチックの箱です。

そこに切り刻んだ新聞紙をたくさん詰めて、部屋のトイレの前に置いて、
猫ちゃんに、

これがトイレだよ。次からはここにしなさい。

…と念を送ったのですが、次もまたスピーカーの隙間に入ってしてしまったのです。

 

一度目の時はまだトイレが無かったので叱りませんでしたが、
二度目の時は心を鬼にして叱りました。

 

粗相をした所に鼻先をつけて顔を睨みつけながらゆさぶって、
次に猫ちゃんトイレに連れてってニコニコしながら撫でるということを
三回繰り返したと思います。

 

そしたら、次からちゃんと猫ちゃんトイレで、トイレしてくれる様になったんです。

 

もう嬉しくて、嬉しくて、かわいくて、かわいくて、頬ずりしたり、抱きしめたりして、
褒めてやりました。

 

その子は雌だったので、子供が生まれると、子供達は何も教えなくても、
親になった猫ちゃんの真似をして、みんな猫ちゃんトイレで用をたしてくれたのです。

 

可愛くて、可愛くて、しょうがなくなりました。